siRNAは、細胞質内で標的となるmRNAを特異的に分解することで、標的遺伝子から作られるタンパク質の合成を妨げる短鎖の核酸です。
当社では、ゲノム修復に働く一群のDNAヘリカーゼが、がん細胞に対して広いスペクトラムを持つ優れた分子標的であることを見出してきました。これらとsiRNAの医薬品としての優れた特性とを組合わせることで、低分子化合物に替わる、siRNAを素材とした医薬品の研究開発を展開してきました。
正常細胞に障害を与えることなく、がん細胞のみを効率よく分裂細胞死(Mitotic death)へと誘導するRecQL1-siRNAについては、マウスモデルの実験から各種のがん細胞の増殖・転移を抑制することをこれまでに確認しました。現在は、標的の疾患部位へ運ぶためのDDS(薬物送達システム)を用いて、臨床研究へ向けた製剤開発を進めています。
臨床応用には米国Alnylam社の特許実施許諾が必要であると考え、他社にさきがけ2005年1月に製造、開発、販売に係わる世界的規模での独占的実施許諾権を取得しており、実用化への道のりを着実に歩んでいます。
また平成27年度より、AMED支援事業の「 組織特異的送達能を有するコンジュゲートsiRNAの創成 」に採択され、上記のDDSを必要しない、次世代の核酸医薬の研究開発にも取り組んでいます。
|